馬肉は高タンパクで低カロリー。栄養価が高くて健康にいい!
そんなイメージがありますよね。実際、愛犬の健康に敏感な飼い主さん向けのドッグフードも出ています。
でも、ちょっと注意が必要!毎日馬肉を食べても健康は維持できません。日々のドッグフードを選ぶポイントと、馬肉の特徴について紹介します。
毎日食べるドッグフードは総合栄養食を選んで
馬肉は体にいいといわれますが、まず、愛犬の体を作る基本「毎日のご飯」について紹介します。
今はドッグフードもいろんな種類が出ています。経済的なものからプレミアムなものまで多種多様!どうやって選べば良いのか迷いますよね。
ドッグフードを選ぶポイントは次の3つです。
基本は総合栄養食
ドッグフードは栄養バランスを考えて作られたものと、そうでないものがあります。
栄養バランスを考えて作られているのが総合栄養食といわれるフード。
これは、犬に必要な栄養がバランス良く含まれていて「このフードと水を与えていれば大丈夫」というもの。
ドッグフードを買う時に迷ったら、まず「総合栄養食」とパッケージに書かれているものを選んでください。
多くの場合、乾燥させたカリカリのフード(ドライタイプ)になっています。経済的で保存性もいいのでおすすめですよ。
子犬向け・成犬向け・老犬向けというように、粒のサイズや固さ、カロリーが調節されていたり、チワワ向け・トイプードル向け・ミニチュアダックスフンド向けなど、犬種毎に栄養バランスが工夫されていたり。
飼い主さんが選びやすいようになっているのも特徴です。
レトルトや缶詰は「ふりかけ」のイメージ
総合栄養食以外でよく見るフードが、レトルトや缶詰フード。
これらは食材の風味が残っていたり、柔らかく、香りもいいのが特徴です。犬の食い付きがいいので人気ですね。
しかし残念ながら栄養バランスに偏りがあり、これだけを与えているとビタミンやカルシウムなどが不足して欠乏症になってしまう可能性が!
レトルトや缶詰は「ふりかけ」のように利用するのがおすすめです。
夏バテで食欲がない時、病後でほとんど食事ができない時、特別な日のご褒美といったように、ちょっと違う日に使ってみてください。
総合栄養食のカリカリフードに乗せるといった、まさに「ふりかけ」のような使い方がいいですよ。
手作りご飯はスペシャルご飯にして
犬のフードは、全て手作り!という方もいます。
食材を飼い主さん自身が選び、新鮮な、できたてフードを食べさせてあげられるのがいいですね。
しかし、この場合、犬の栄養に関する知識が必要です。NG食材がありますし、犬に必要な栄養素の種類や量は人と全然違います。なにより保存がきかないので時間にゆとりのある方でないと難しいですよね。
手作りご飯にチャレンジしよう!と思っている方は、カリカリタイプと併用して栄養面の不安を取り除いたり、誕生日やハロウィンといったイベントの時だけにしたり、介護が必要になった時といった特別食(スペシャルなご飯)にするのがいいですよ。
馬肉が栄養豊富なのは確か
さて、犬のフードについてポイントを紹介しました。このポイントに沿って馬肉のドッグフードを考えてみましょう。
まず、馬肉は栄養が豊富です。牛肉や豚肉と比較してみましょう。
(参考:食品成分データベース|文部科学省)
表は、100g中に含まれる主な栄養素の量です。
馬肉は、牛肉や豚肉に比べて同じタンパク質の量でもカロリーや脂質が少ないですよね。鉄やビタミンA、ビタミンB12が非常に多いのも特徴です。
タンパク質は筋肉や皮膚はもちろん、細胞やホルモンなど体の中のあらゆる組織を作るのに欠かせない栄養素。
ビタミンAは皮膚や骨・歯の発育や視神経などの神経細胞に不可欠で、犬の場合は人のように過剰摂取を考える必要がないので、たくさん摂取しても大丈夫。
そして、鉄やビタミンB12は血液を作るのに重要な働きをする栄養素で、しっかり摂取したいもの。
馬肉には、犬にとって重要な栄養素が豊富に含まれている上、カロリーが低くて嬉しい食材です。
ただし、馬肉がいくら栄養豊富といっても、馬肉だけで犬に必要な栄養素を全てまかなえる訳ではありません。
馬肉は毎日食べても大丈夫ですが、重要なのはバランス。馬肉をドッグフードに使う場合は
・馬肉入りの総合栄養食を選ぶ
・総合栄養食に馬肉をプラスする
・馬肉を利用して自分で栄養バランスを考えながら手作りご飯を作る
この3つのうちのどれかの方法を選ぶことになりますが、いずれにせよ「栄養バランスが崩れないように配慮が必要」ということになりますね。
カロリー計算をしないと、どんなフードでも太ってしまう
さて、馬肉が栄養豊富でいい、と紹介しましたが、馬肉を使っても太る犬は太りますし、栄養バランスが崩れることがあります。
理由はひとつ。「食べ過ぎ」です。
どんなフードを利用しても、食べ過ぎるとカロリーを摂り過ぎて太ってしまい、肥満症・糖尿病・肝臓病・関節痛・ヘルニアなどの病気になる可能性が高くなりますよ。
大事なのは「1日にとるカロリー」を守ること。余分なカロリーは脂肪として体に溜まり、肥満になります。
次の表は、犬の1日に必要なカロリー量を表しています。もちろん、運動量や生活習慣によって変わるので「これが絶対に正しい数字!」ではありませんが、参考にしてください。
離乳期は子犬の頃。一生のうちで最も体が成長する時期で、非常に多くのエネルギーが必要になります。
成犬中期は、生後1年経ったけれど、まだ成長が続いていてエネルギーが必要な時期。
成犬になると体が完成し、心身共にもっとも充実している時期になります。
なお、老犬になると必要なエネルギーの量は減りますが、内臓機能が低下して必要な栄養素を効率良く取り込めなくなってしまいます。
各ライフステージで工夫は必要ですが、この表の必要カロリー量を参考にしながらカロリー過多にならないようにしたいもの!
なお、ドッグフード(総合栄養食)のパッケージには体重毎に食べさせる目安量が書かれています。その量を守れば肥満の可能性は低くなります。
(ただし、おやつを与えると、おやつの分がカロリーオーバーになるので要注意!)
いくら馬肉が低カロリーで健康によくても食べ過ぎはNG!飼い主さんが量を管理して、健康維持に努めてくださいね。
馬肉は「ご褒美」に利用するのがおすすめ
馬肉入りのドッグフードを探して食べさせるのもいいですが、おすすめなのはジャーキー状の馬肉をご褒美に活用すること。
日々のフードは経済的なドライタイプを活用し、トイレトレーニングや躾の時のご褒美に乾燥させた馬肉を使ってみてください。
例えば、スワレ、マテ、ハウスなどの躾をする場合。
犬には、嬉しいことが起こった時の行動を繰り返す習性があるので、それを利用します。
スワレと言われて座った後に、大好きな飼い主さんにベタ褒めされ、さらに普段食べたことがないような馬肉をもらえた!こうなったら座らずにはいられません。
また、ハウストレーニングでも「クレートの中にめちゃくちゃいい匂いがするものが入ってる!」となれば、犬も入りたくなるもの。
しかも、中に入って一定時間静かにしていたら飼い主さんに褒められた!(そして、ハウスの中に入っていても、怖いことは起きなかった!)となれば、ハウストレーニングもスムーズに進むでしょう。
さらに、密閉容器に馬肉とカリカリのドライフードを入れておけば、馬肉の匂い付きカリカリフードが出来上がります。犬は味よりも匂いに強く反応するので、簡単にスペシャルなご褒美が作れます。
犬は匂いが強いものや肉が好きです。興味を惹いたり、褒めたりするのに馬肉は非常に使いやすいご褒美です。
単に干しただけの馬肉なら添加物に気を遣う飼い主さんでも安心して食べさせられますよね。低脂肪なのでカロリーオーバーも気にしなくてOK!そもそも1回に与えるご褒美は極わずか(ドライフード1~2個くらい)ですから経済的です。
犬も嬉しくなり、飼い主さんもトレーニングが進められてハッピー!
馬肉はご褒美利用がおすすめです。
過剰な広告に注意して!
栄養豊富で上手に活用すれば健康維持やトレーニングに役立つ馬肉ですが、時々、過剰な広告で販売されているものがあるので注意してください。
馬肉がほとんど入っていないものがある
馬肉入りで健康に良い!と言われているけれど、実はほとんど馬肉が入っていないものがあります。
これは商品のパッケージの原材料をチェックすると分かりますよ。原材料は「含まれている量が多い順」に書かれています。
原材料の欄の何番目に馬肉が書かれているのかチェックしてみてください。トウモロコシや小麦などが先に書かれている場合、肉よりも穀物が多いドッグフードになります。
原材料欄をチェックできないものはよほどの信頼性がない限り買わない方がいいでしょう。
不安を煽る文言で広告しているフード
馬肉が健康にいい、と宣伝するのはいいのですが
「他のドッグフードはガンになる成分が入っている」
「牛や豚は危ない飼料を食べさせられているけれど、馬は大丈夫」
「他社と違って危険な添加物や保存料は使っていません!」
など、不安を煽る宣伝で購入を勧めるものがあります。こうしたフードはあまりおすすめできません。
まず、日本で製造され、販売されているドッグフードは日本の法律を守っています。
また、海外から輸入されたものも、輸入する際に複数の検査を受けており、日本の法律に合ったものしか国内販売できず、さらに国内に入った後も継続的に検査が続けられています。
添加物や保存料も、科学的な根拠を元に出された使用量や使用方法を守り、製品を安全かつ適切な状態に保つために必要とされる量が使われています。
これはどんな材料を使ったドッグフードも同じ。誤った情報を流して過剰に不安を煽り、特定の商品を販売しようとする広告は信用度が落ちてしまいます。
(参考:ペットフードの安全性確保のための取り組み|ペットフード協会)
馬肉で病気が治ることはありません
馬肉に限りませんが、まるでそのフードを食べることで病気が治ったり、病気にならないようなことを書いて販売しているフードがあります。こうしたフードも避けた方がいいですね。
確かに健康に配慮した食事は大切です。年齢を重ねれば特に食事の質が重要になってきます。
ただし、食事は食事。薬ではありませんから、病気を治すものではありません。
適切な栄養バランス、運動、衛生的でストレスの少ない生活環境、飼い主さんとの信頼関係など。愛犬の心身の健康に必要な条件は様々です。
「このフードを食べれば病気知らず!」というような宣伝は過剰な宣伝ですので、情報を鵜呑みにしないでくださいね。
上手に馬肉を使って健康を維持しよう
馬肉は高タンパクで低カロリー。栄養豊富で犬の食い付きがいいフードです。
体に良いなら毎日食べさせよう!と思いますよね。ですが、日々の食事に利用するな「総合栄養食」という栄養バランスが取れたフードにしてください。
馬肉入りの総合栄養食を利用したり、通常のドッグフードに馬肉をプラスしたり、犬の栄養学に基づいた手作りフードに馬肉を活用するなど。飼い主さんの都合に合わせてフードを選んでくださいね。
おすすめなのは、フードは通常のドライタイプを活用し、ご褒美として馬肉を活用すること。経済的ですし、スムーズにトレーニングや躾が進んでいいですよ。
ただし、馬肉や馬肉入ドッグフードを購入するときは過剰な広告に注意してくださいね。必ずパッケージを見て原材料や1度に与える量をチェックしてから購入してください。そうでないと、通常のフードとあまり変わらないものを高額で購入することになってしまいます。
健康という言葉は魅力ですし、馬肉はいい食材ですが、愛犬のフード選びは慎重になさってくださいね。
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