日本では、犬を飼いきれなくなった飼い主たちが犬を捨てたり、保健所に持って行ったりと、犬を飼うことの責任を問われることがよくあります。
そのような中で、欧米に比べ日本はペット後進国で、制度が行届いていないことが原因だという論調もあります。
しかし、本当に日本はペット後進国なのでしょうか?
本当にペット後進国なのだとしたら、そんな国で作られているドッグフードは犬に与えていいものなのでしょうか?
詳しく見ていきましょう。
日本と欧米の犬に対する考え方の違い
日本では街中にペットショップがあり、誰でもお金さえ払えばかわいいわんちゃんを購入することができます。
道路に向かって設置されたガラス張りのゲージの中で、ころころと動き回る子犬たちを見るとついつい足を止めてしまう方も多いのではないでしょうか。
ついつい立ち寄って、衝動買いしていまう。何も準備せず、わんちゃんを迎えいれてしまうことあるでしょう。
このような購入へのハードルの低さが、ペット後進国と言われる所以なのでしょうか?
先進国のペットショップ事情
先進国で見ると、西北ヨーロッパ、北米、オセアニア、シンガポール、香港、台湾などではペットショップは禁止されていません。
ペット先進国としてよく紹介される、イギリスやドイツでもペットショップの出店は禁止されておらず、両国ともペットショップが多く経営されています。
また、日本で禁止されている非対面販売(インターネット)でのペットの販売はどうでしょうか。
じつは、欧米でペットのインターネット販売が全面禁止されている例はありません。一部、免許制などの規制はありますが、一切の取引が禁止されているのは日本だけです。
このように、ペットを購入する入り口の部分で考えると、日本ではペットショップやブリーダーなど対面販売でしか購入できないというところでは欧米に劣っているとは言えません。
犬を購入する時に義務付けられていること
一方で、犬を購入する際には、飼い主に対する義務が求められる国が多数あります。
日本で犬を購入した場合には、年1回の狂犬病予防接種と、決められた日までに市区町村へ登録することが狂犬病予防法で義務付けられています。
ドイツでは、犬を飼うに当たり、犬税100ユーロ(約12,000円)が必要で(※州によって異なります)、一部の地域では専門知識を習得しているという証明も必要です。
また、犬の飼育環境も厳しく定められており、体高に対する飼育面積や小屋に断熱材がついているかどうかなども細かい規定があります。
ペット保険発祥と言われるスウェーデンでは、犬を繋いだままの飼育やゲージに入れたままの飼育は禁止されています。また、6時間以上犬を留守番させてもいけません。
イギリスでは、動物に対する法律が多数存在し、その中で犬の権利が認められています。また、公共の交通機関などに犬を同伴させることもできます。
このように、ヨーロッパでは犬であっても仲間と見做し、法律や福祉などで守っていこうという意識を感じることができます。
一方で、日本では、あくまでペットという認識が拭いされていません。
ドッグフードの安全基準
では、ドッグフードの安全基準という点で考えてた時に、やはりヨーロッパのドッグフードの方が高い基準を求められているのでしょうか?
日本の法律 ペットフード安全法
日本では、2009年に「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」によってペットフードに関する法律が制定されました。
この法律が制定されるきっかけとなったのが、2007年にアメリカで起こったペットフードのメラミン混入事件です。
中国産の小麦粉を使用したところ、メラミンというプラスチック製品に使用される物質が入っていたのです。
メラミンは、たんぱく質の数値を高めることができるので、メラミンを使用することで高たんぱくの小麦粉であると偽造したのです。
その結果、多くの犬や猫が命が失われてしまいました。その後、日本でもメラミが混入したドッグフードが輸入販売されていることが判明しています。
この事件は全世界に影響を与え、日本でもペットフードに対する規制が行われることとなりました。
それが「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」、通称ペットフード安全法です。
では、この法律で守られているのはどんなことでしょうか。
ペットフード安全法では、使用できる添加物の上限が定められています。
分類 | 物質等 | 定める量(μg/g) |
---|---|---|
添加物 | エトキシキン・BHA・BHT | 150(合計量) 犬用にあたっては、エトキシキン75以下 |
亜硝酸ナトリウム(注) | 100 | |
農薬 | グリホサート | 15 |
クロルピリホスメチル | 10 | |
ピリミホスメチル | 2 | |
マラチオン | 10 | |
メタミドホス | 0.2 | |
汚染物質※ | アフラトキシンB1 | 0.02 |
デオキシニバレノール | 2(犬用) 1(猫用) | |
カドミウム | 1 | |
鉛 | 3 | |
砒素 | 15 | |
BHC (α-BHC、β-BHC、γ-BHC及びδ-BHC、の総和をいう。) | 0.01 | |
DDT (DDD及びDDEを含む。) | 0.1 | |
アルドリン及びディルドリン (総和をいう。) | 0.01 | |
エンドリン | 0.01 | |
ヘプタクロル及びヘプタクロルエポキシド (総和をいう。) | 0.01 | |
その他 | メラミン(注) | 2.5 |
※汚染物質:環境中に存する物質であって、意図せず愛玩動物用飼料中に含まれるものをいう。
※規定する成分の販売用ペットフードにおける含有量を算出するにあたっては、そのペットフードの水分含有量を10%に設定する。
※(注)は平成27年2月20日から適用
(環境省自然環境局 動物の愛護と適切な管理より引用:https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/petfood/standard.html)
アメリカの基準
アメリカでは以下の二つの機関により、ドッグフードの安全基準が決められています。
・FDA(アメリカ食品医薬品局)
アメリカの政府機関。成分などを規定している。
・AAFCO(アメリカ飼料検査官協会)
ラベルへの成分表示などのガイドラインを出す機関。
どちらもガイドラインとなっており、罰則はありません。
ドッグフードに含まれるべき栄養素は下記のように定められています。
タンパク質:18%以上 脂質:5.5以上 カルシウム:0.5~2.5% リン:0.4~1.6% アルギニン:0.51%以上 ヒスチジン:0.19%以上 リノール酸 :1.1%以上
EUの基準
EUでは、FEDIAF(欧州ペットフード工業会連合)により、ペットフードのガイドラインが定められています。
FEDIAFはペットフードの認定を行っており、基準を満たしているドッグフードには、「FEDIAF認定」の表記が許されています。
ドッグフードに含まれるべき栄養素は下記のように定められています。
タンパク質:18%以上 脂質:5.5以上 カルシウム:0.5~2.5% リン:0.4~1.6% アルギニン:0.52%以上 ヒスチジン:0.23%以上 リノール酸:1.32%以上
結局、国産ドッグフードってどうなの?
ペットフード安全法が定められるまでは、まったく規制のない中でドッグフードが販売されていました。
2009年にペットフード安全法が制定されたことは大きな進歩と言えるでしょう。
しかし、ヒューマングレードということで見てみると、まだその基準には及ばない規制となっています。
特に、汚染物質など人間の食品に対しては完全に禁止されている物質も許されています。
ペットフード安全法があるので、どのドッグフードも手放しで安全と言える状況ではまだありません。
ドッグフードを購入する際には、自分の目で添加物の確認をする必要があります。
オススメの国産ヒューマングレードドッグフード
自分の目で見て確かめるといっても、どこを見ていいかかわらない。添加物も全てが悪い訳ではないし。と悩んでしまいますよね。
わんちゃんの健康が気になる飼い主さんへ、オススメの国産ドッグフードをご紹介します!
このこのごはん
このこのごはんは小型犬の為に作られたドッグフードです。粒も小型犬サイズになっており、小さめの形状です。
鶏肉(ささみ、レバー)、大麦、玄米、ビール酵母、鰹節、こめ油、乾燥卵黄、まぐろ、青パパイヤ末、モリンガ、さつまいも、わかめ、乳酸菌、昆布、ミネラル類(牛コツカルシウム、卵殻カルシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、グルコン酸亜鉛、ピロリン酸第二鉄、グルコン酸銅)、ビタミン類(ビタミンA、ビタミンB2、パトテン酸カルシウム、ビタミンB12、ビタミンD、ビタミンE)
香料・着色料・保存料・防カビ剤・増粘剤・発色剤・酸化防止剤(BHA・BHT)などは使用されておらず安心です。
ビタミンとミネラルに関しては自然の食材で摂取しづらいので、合成のものだけ使われています。
人も食べることができるヒューマングレードとなっています。編集部でも、このこのごはんを試しに食べてみましたが、噛むほどに鰹節の香りが広がるドッグフードでした。
人間が食べるものとしてはもちろん美味しくはありませんでしたが、私たちが食べても変な味や匂いがして食べれない!ということは全くありませんでした。
ドッグフードなのに、人間も抵抗食べられました!
Dr.ケアワン
Dr.ケアワンというだけあって、動物栄養学博士が監修しているので、栄養素の心配はありません。
〇〇ミールや、○○副産物などの粗悪な、肉も使われておらず、BHA・BHTなどの危険な添加物も入っていません。
鶏肉、大麦、玄米、ビール酵母、かつお粉末、しいたけ、黒米、赤米、大根葉、ごぼう、人参、昆布、むらさき芋、かぼちゃ、ブロッコリー、グルコサミン、コンドロイチン、キャベツ、白菜、高菜、パセリ、青じそ、卵殻カルシウム、ビタミンE
こちらのドッグフードも、ヒューマングレードとなっており、人間の食品に入れられない成分は入っていません。
Dr.ケアワンには、グルコサミンとコンドロイチンが入っているので、老化によって関節の動きが悪くなってくるという症状に効果的です。
オススメの外国産ヒューマングレードドッグフード
モグワン
モグワンはペット先進国と言われるイギリスの工場で作られています。もちろん、この工場はFEDIAF(欧州ペットフード工業会連合)の厳しい基準を満たした工場です。
シンプルな原材料なので、モグワンの上にトッピングをして不足している栄養素を足してあげることもできます。
チキン&サーモン56%(チキン生肉21%、生サーモン12%、乾燥チキン12%、乾燥サーモン7%、チキングレイビー2%、サーモンオイル2%)、サツマイモ、エンドウ豆、レンズ豆、ひよこ豆、ビール酵母、アルファルファ、ミネラル類(硫酸第一鉄水和物、硫酸亜鉛一水和物、硫酸マンガン一水和物、硫酸銅(Ⅱ)五水和物、無水ヨウ素酸カルシウム、亜セレン酸ナトリウム)、ビタミン(ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE)、ココナッツオイル、バナナ、リンゴ、海藻、クランベリー、カボチャ、カモミール、マリーゴールド、セイヨウタンポポ、トマト、ショウガ、アスパラガス、パパイヤ、グルコサミン、メチルスルフォニルメタン(MSM)、コンドロイチン、乳酸菌
モグワンはメイン食材の含有量が表記されていて良心的ですね。半分はたんぱく質である、チキンとサーモンで出来ています。
また、モグワンはグレインフリー(穀物不使用)なので、サツマイモで食物繊維が補われていますね。
アランズナチュラルドッグフード
こちらも、イギリス産のドッグフードです。アランズナチュラルドッグフードもFEDIAF(欧州ペットフード工業会連合)の厳しい基準を満たした工場で製造されています。
ラム肉(イギリス産)55%、玄米、ベジタブル・ハーブミックス、全粒大麦、全粒オーツ麦、亜麻仁、テンサイ、ビール酵母
かなりシンプルな原材料です。
高たんぱく低脂肪のラム肉が55%も使われているというのが素晴らしいですね。
モグワンと違って、グレインフリーではありませんが、アレルギーがないわんちゃんなら気にすることはないでしょう。
アランズナチュラルドッグフードは、肉食であった犬の祖先も草食動物が植物も摂取していたという自然給餌の考え方から、必要以上に栄養素を除かないという考え方を取っています。
なので、玄米や大麦などの穀物からも栄養素を摂取できるようになっているんですね。
わんちゃんはもはや雑食ですから、玄米や大麦から栄養を摂取することも大事です。
まとめ
ペット後進国の日本のドッグフードは不安、、、と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、成分を見れば、きちんと作られているドッグフードも多くなってきました。
ヒューマングレードという言葉も日本で浸透してきており、わんちゃんの食事に対する私たちの意識も徐々に変わってきています。
国産ドッグフードも、外国さんドッグフードも、どちらも自分の目で成分を確かめて、本当にわんちゃんにいいものか判断していきましょう。
だいたい初回は安く購入できるので、お試しで色々取り寄せみてもいいですね!
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