シャープな顔付きと体型が美しく、走るのがとても速い貴族の犬ボルゾイ。その美しさと魅力を最大限に引き出すには、食事を適切に管理する必要があります。
ボルゾイの理想の体重や1日あたりのご飯の回数や量、食事のタイミングなどについてまとめました。
ボルゾイの理想体重は?
大型犬のボルゾイは体重が40kg前後、体高(地面から背中までの高さ)が75cm前後です。
雄と雌の理想体重は次のようになっています。
・オス:体重38~48kg、体高75~85cm
・メス:体重35~45kg、体高68~78cm
大体10kgの幅があります。これは人でも身長差があるようにボルゾイにも遺伝的な要素で体格が異なるから。
また、オスの方が骨太で筋肉が発達しているので体重が重くなり、地面から背中までの高さも高くなります。ただ、メスでも大きな個体はオスと同じくらいの体重と体高になりますよ。
ボルゾイの最大の特徴は正面から見ると体の横幅が狭く縦に長いというスレンダーな体型です。足が細くて長く、腹から後足に向けて深く切れ上がっていて瞬発力に満ちた体になっています。
ボルゾイを飼う時は走るためのスリムな姿を維持することを念頭に、理想体重のボルゾイを目指してください。パッと見た感じ、脂肪を全く感じさせない姿が美しいボルゾイなので、理想体重を意識した体作りをしていきましょう。
理想体重のチェック方法
理想体重を紹介しましたが「体重さえ合っていればいい」という訳ではありません。人と同じように体重と脂肪の付き方をチェックします。
脂肪が付きすぎていれば肥満。脂肪がなく骨が容易に分かるような状態だと痩せているという判断は人と同じ。人の肥満度をチェックする指標にBMIがあるように、犬にもボディコンディションスコア(BCS)という指標があります。
ボディコンディションスコアは痩せ~肥満までの5段階で犬の状態を表すようになっており、BCS3が理想の体型です。
愛犬がBCSのどこに当てはまるのかをチェックする時は、次の3つの方法でチェックしてください。
(1)愛犬を上から見て、腰のくびれがあるかチェック
(2)愛犬を横から見て、肋骨が分かるか。腹~後ろ足に向けて切れ上がっているかチェック
(3)肋骨部分と腰骨部分に触れて、皮下脂肪がどれくらいついているかチェック
ボルゾイの場合、絹のような毛があるので見た目で腰のくびれが分かりにくいかもしれません。その場合は実際に触れてくびれがあるか確認しましょう。
肋骨部分も触って確認します。ボルゾイは体の厚みはあまりありませんが、胸は深く、立派な肋骨があります。脂肪がなくて肋骨が浮き上がる状態もよくありませんし、皮下脂肪に覆われてしまって肋骨が分からない状態もダメ!
また、腹から後ろ足に向かう切れ上がった線が明確に見えるかどうかもチェックしてください。お腹が垂れたり、多くの皮下脂肪が付いているとお腹~後ろ足に向かう切れ上がりが不明瞭になります。
なお、自分でチェックが難しい場合は動物病院でチェックしてもらうといいですよ。動物病院によっては「この触り心地と同じならBCS3」というように飼い主さんが簡単に診断できる「犬の栄養状態(体型)診断モデル」を設置していることがあります。
犬の栄養状態(体型)診断モデルはペットフードで有名なロイヤルカナン ジャポンが帝京科学大学と協同で開発したBCSを簡単に診断するツールです。かかり付けの動物病院に設置されていたら、ぜひ、触ってみてください。
【参考】“触っただけで正確にわかる、愛犬の肥満度!” 世界初の「犬の栄養状態(体型)診断モデル」を開発|ロイヤルカナン
体格別食事量、回数、タイミング
理想の体重と体型が分かったら、愛犬の状態に合わせて食事を管理していきましょう。
犬に必要な栄養やバランスは人とは全然違うので、人と同じように考えると健康を害する危険があります。犬の栄養と、愛犬の体格別食事量や回数、タイミングをみていきましょう。
犬に重要な栄養素
犬に必要な栄養素は人と同じ、炭水化物・タンパク質・脂質・ビタミン類・ミネラル類という五大栄養素と水です。
よく「犬は肉食だから穀物は要らない!」と考える方が居ますが、それは間違い。大昔の犬や犬の祖先は肉食メインでしたが、ペットとなった犬は雑食です。穀物などの炭水化物も摂取しなければ、脳や筋肉を動かすエネルギーが不足する危険があるんですよ。
穀物などをゼロにしてしまうと炭水化物が不足します。するとタンパク質をエネルギーに変えて消費するため、細胞や酵素、筋肉、血液、皮膚などを作るというタンパク質の本来の働きが低下。さらに、大量のタンパク質を取り続けると腎臓に負担をかけてしまいます。
犬にとってタンパク質は重要な栄養素ですが、他の栄養素も摂る必要があるのでバランスよく摂るようにしてください。
なお、タンパク質は人の4~5倍、ミネラルの一種であるカルシウムは人の10倍必要!一方で、塩分は人の1/3以下で大丈夫なので、人と同じような食事では犬は栄養失調になってしまいます。
特に、ボルゾイのように運動量が多く体が大きな犬は、タンパク質やカルシウムが不足すると確実に体調不良に陥ります。
必ず、犬のための栄養バランスを考えた「総合栄養食」を日常的に食べさせてください。ドッグフードのパッケージに書かれていますから、購入前にチェックしてみてくださいね。
食事の回数は1日2回が基本
成犬の場合、食事は1日2回が基本です。
犬は1回の食事で1日分のカロリーを摂取する能力があるので1日1食でもいいのですが、その場合、空腹の時間が非常に長くなってしまいます。
お腹が空くと犬もイライラしますし、食欲が強くなって、食べ物に対して過剰な反応を示すことがあります。ですから1日2回に分けて1日分のドッグフードを食べさせるのがおすすめです。
ただし、食べるのが大好きな子や、運動量が非常に多い子の場合は1日3~4回に分けて食べさせてもOKです。
愛犬に合った1日分のドッグフードを何回に分けて食べさせるのか、というのは飼い主さんが生活リズムと愛犬の特性に合わせて決めてあげてください。
なお、1日に食べさせる量はドッグフードによって違います。ドッグフードのパッケージに犬の体重に合わせた給餌量が記載されているので、その量を守って食べさせるようにしてください。
絶対に注意しなければならない食事のタイミング
1日2回が基本の食事の回数ですが、ボルゾイは食べさせるタイミングを間違うと死に直結することがあります。
胃捻転という病気をご存知でしょうか?
胃捻転は胃が捻れて向きが変わってしまう病気で、ボルゾイのような大型犬が特に注意しなければならない病気です。
よくあるのは、胃の出口と腸が繋がる部分が捻れる胃捻転。腸が胃を締め上げてしまって血行や胃の内容物が滞り、ガスが発生したり炎症が起こったりして内臓に大きなダメージが発生!治療しても内臓が受けたダメージが原因で発症から数日後に命を落とすケースもあります。
この胃捻転を避けるために、次のようなことを守って食事のタイミングに注意してください。
・食後すぐに運動するのは絶対にNG!
・一気にたくさんの量を食べない
・一気にたくさんの水を飲まない
・ストレスを溜めない
・年齢を重ねたら特に注意!
胃捻転は大型犬の命を奪う病気と言われています。食事のタイミングに充分注意してください。
おやつは不要!
よく愛犬におやつを食べさせる飼い主さんがいますよね。家族同然なので、美味しい物を食べさせて喜ばせたい!という気持ちはよく分かります。
しかし、基本的に犬におやつは不要です。その理由は次のとおりです。
・カロリーオーバーになり、肥満の原因となる
・1日に摂取する栄養バランスが崩れる
・嗜好性の高いおやつを気に入ると、通常のフードを食べなくなる
もし、おやつを食べさせる場合は、1日分のドッグフードからおやつの分を減らしましょう。そして、できるだけ栄養バランスを崩さないものを選び、ほんの少しだけ食べさせるようにしてください。
ボルゾイのおやつには、ジャーキーのようなタンパク質が摂れるものや、通常のドッグフードにスルメなどで匂いを付けたものがおすすめ。
おやつは、しつけ・トレーニングの際には有用ですが、それ以外では基本的に必要ありません。健康を害する原因になるものなので注意してくださいね。
食いが悪いボルゾイにおすすめのフード
犬といえば食欲旺盛で、与えたら与えただけ食べる!というイメージがあります。しかし中には食が細く、なかなか食べてくれない子もいます。
食い付きが悪くて食が細いボルゾイの場合は、ドッグフードを「肉や魚が多く使われているドッグフード」に変えてみてください。
ドッグフードのパッケージには原材料が記載されています。
原材料は使われている量が多い順に書かれていますから、原材料の欄の最初に肉類や魚類が書かれているものを選んでください。また、ミール類や動物性油脂が使われていないドッグフードがおすすめです。
ちょっと値段が高くなりますが、タンパク源になるものが多く入っているドッグフードなら食いがよくなることが多いですよ。
また、1回に多く食べられない場合は、1日分のドッグフードを1日3~5回に分けて食べさせてください。イメージとしては、朝食+午前の補食(1回)+午後の補食(1回)+夕食です。なんとか1日分を食べさせるようにしてください。
運動量が多いボルゾイの食事
運動量が多いボルゾイは、体を作るための栄養と運動するためのエネルギーが必要になります。
1日に食べさせる量を計算した後、それに少しプラスして食べさせるようます。1日1回、補食をプラスしてもいいですね。
運動量が多ければ多いほど、プラスする量が必要に!不足すると痩せていきますから、週一回のペースで体重をチェックして増減を見てください。
体重が減るようなら食べさせる量を増やし、体重が増えるならプラスする量を減らします。食べさせる量と体重を記録し、愛犬に合う量を見付けてください。
痩せているボルゾイの食事
まず、病気で痩せている場合は必ず食事の量や内容を獣医師に相談してください。勝手な自己判断で食事の内容を変えると治療に差し支えることがあります。
元気で持病もないのに痩せている場合は、食事の量を増やします。1日に取るカロリーの量を増やすのですが、必ず栄養バランスが摂れた総合栄養食の量を増やします。決してお菓子のようなおやつを増やさないでください。
どうしても量をたくさん食べられない場合はカロリーが高いドッグフードを選びます。ドッグフードのパッケージには100g当たりのカロリーが記載されています。少ない量で高いカロリーを摂取できるドッグフードなら、少ししか食べない痩せた子でも徐々に体重が増えてきますよ。
なお、シニア犬で痩せている場合は効率良くタンパク質を摂ることができる高タンパク低脂肪のドッグフードを選びます。
シニア犬になると運動量は減りますが、筋肉や皮膚をよい状態に保つのに多くのタンパク質が必要に!消化吸収がよくて、タンパク質が豊富なドッグフードを探してあげてください。
シニア犬で固いカリカリタイプが食べにくい場合は、ソーセージのようなチルドタイプのドッグフードを選ぶか、カリカリタイプを水や犬用ミルクでふやかしてください。
食べやすさを考慮して楽しく食べられるようにしてあげてくださいね。
肥満ボルゾイの食事
愛犬の腰のくびれが少ししかない(または全くない、ふっくら太っている)、お腹がやや垂れている(または垂れている)、肋骨に触れてもわかりにくい(肋骨がわからない)という場合は、肥満です。
見た目で明らかに分かる肥満(BCS5)の場合は、獣医師に相談してダイエットプランを考えてもらいましょう。病気になっている可能性もあるので必ず獣医師の指示に従います。
BCS4の場合は、摂取カロリーを減らし、運動量を増やして脂肪の量を減らしていきます。
減らすスピードはゆっくり!
目安は、一週間で今の体重の1%を減らすくらい。最高でも2%までにしてください。絶対に一気に落とそうとしないでください。体に大きな負荷がかかり、精神的にもよくありません。
1日に食べさせる量はドッグフードのパッケージに記載されている量を守ります。体重に合った量を計り、それ以上は食べさせないようにします。
そして運動は土の上をできるだけ歩くこと!
肥満のボルゾイを走らせると足の関節に大きな負担がかかってしまうので、体重がある程度減るまで無理はしないでください。
理想は泳ぐことですが、神経質で警戒心が強い子の場合は水に入ることを嫌がることもあります。無理強いはせず、できる範囲で足に負担をかけないよう配慮しながら動く時間を長く取ってください。
食事はあえて食べにくいお皿を使ったり、1日分を4~5回に分けて食べさせます。ゆっくり食べることで「食べた!」という満足感を抱かせ、1日に複数回食事を摂ることで空腹時間を短くするとストレスが堪りにくく、ダイエットが長続きしますよ。
まとめ
ボルゾイは大型犬で体重が40kg前後、体高が75cm前後。オスの方がメスよりも体重が重く、体高も高くなります。
体重だけでなく、ボディコンディションスコアもチェックして適正な体型を維持してください。食事は1日2回が基本ですが、食べて直ぐに運動したり、一気にたくさん飲食するのは胃捻転の危険があるのでNG!
愛犬の体型に合わせて食い付きが良い総合栄養食のドッグフードを選び、カロリーオーバーにならないよう1日分の量を守り、おやつを控えた食生活を続けてください。
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